大きなテーマと小さなタスク

少し前の話ですが、富良野管内の高校生向けの就職説明会に参加しました。参加企業は富良野近郊のあらゆる業種で、対象者は高校1年生と2年生でした。最初に企業側から数分間のスピーチを行い、その後、企業ごとに分かれたブースに興味のある学生が集まり詳しい話を聞くという感じでした。まだ16歳か17歳の彼らは「公務員になって安定した老後を送りたい」とか「お金を貯めて自分のお店を持ちたい」とか、将来の目標や夢を聞かせてくれました。

私はすでに43歳になりましたが、彼らの倍以上の人生を送っていることに衝撃を受けました。私は高卒で就職しているので、ちょうど25年間社会人をやっていることになります。若い頃は世間知らずで勢いだけで乗り切ってきましたが、これまでやってきたことの積み重ねが、今の自分になったことに間違いありません。

振り返ってみると、○3歳は私にとって節目の年であるような気がします。

高校を卒業して就職した会社でお客さんにパソコンの使い方を教えることが多くなり「パソコンを教える仕事」に興味を持つようになりました。トレーナーの資格を取り、パソコン教室で指導し始めたのがちょうど23歳の時でした。

それから33歳までの10年間は、インストラクターという職業を生活の糧にしていました。新しいOSやアプリケーションが出れば、すぐにそれを使って新機能を覚えたりして、一日のほとんど時間、パソコンに向かっていたと思います。

それから43歳までの10年間は、それまでの自分とはまるで別人になったように色んな事を始めました。陶芸や登山のように今でも続けている事もあるし、まるで続かなかった事もありますが、この10年は種まきの時期だったと思います。

私は何をするにも物覚えが悪く、才能やセンスといったものを持ち合わせていませんが、10年間続けてきたことがやっと芽を出し始めてきたような気がします。陶芸に関していうと、ここ数年は山に行かない一定期間、その年に出展するイベントに向けて集中して作陶するようになりました。

初めて粘土に触れた日からずっと続けていることといえば、その日の作業内容を全て写真に撮り、窯ごとに分けたフォルダを作って日付順に整理しています。あちこちの陶芸教室や窯元をはしごしていた時期もありましたが、窯ごとに使っている粘土や釉薬が違うので、同じ名前の釉薬を使っても仕上がりが大きく異なります。今でもそうですが、窯出し後の写真よりも、出来上がるまでのプロセスが好きで、その写真をより多く残しています。

厄介なことに、焼き上がったものに対しては、それまでの情熱が冷めてしまう傾向にあります。自分で使うものは限られているし、不燃物を作り続けることに罪悪感すら感じます。それでも作り続けたいので、使ってくれる人を探さなければなりません。

具体的な目標があると、具体的な計画が立てられるので、毎年テーマを決めるようにしています。今年の大きなテーマは「ロクロの腕を磨くこと」ですが、具体的には出来るだけ少ない道具で、自分の技術を向上させることを目標にしています。ロクロ挽きで私が使う道具は、牛ベラ、弓、なめし皮、スポンジ、切り糸です。

私が陶芸教室に行くのは週末だけで、切羽詰ってくると朝から夕方まで居ることもありますが、集中力はそんなに長くは続かないので、2~3時間を一区切りにして、小さなタスクに分けて作業をするようにしています。

今日のタスクは「棒挽きでリム皿を挽くこと」です。

「リム」とは縁が一段持ち上がった部分のことで、絵画でいうと額縁のような効果があり、お皿に載せるお料理を引き立てる役目を果たします。

平らなお皿を挽く時は、粘土の塊から沢山の数を挽いていく「棒挽き」ではなく、カメ板を準備して「一個挽き」することが多いと思いますが、できるだけ少ない道具で挽けるように棒挽きを基本としています。

内側はできるだけ平らになるようにして、最後にリムを作るようにしていますが、遠心力がかかるので、q手を掛けすぎるとリムが垂れ下がってきてしまいます。

教室に来たのは3ヶ月ぶりになりますが、初めましての生徒さんも増えているし、陶芸体験に来た奥様方もいて賑やかでした。何をするにも「きっかけ」があると思いますが、陶芸は奥が深いので一生の趣味になると思います。

翌日は、朝一番でゲレンデに行き、今年で3シーズン目になるテレマークのトレーニングをしましたが、ガリガリのアイスバーンで1時間ほどで玉砕しました。何を覚えるのにも本当に時間がかかります。

近くの「かもい岳」からの景色です。朝は冷え込みましたが、樺戸連山が美しかったです。

今年は滑り始めが遅かったので、テレマークは4回目ぐらいだと思います。来シーズンは真面目にレッスンを受けようと思います。

その後は、まっすぐ陶芸教室に向かい「赤粘土」で深さのあるリム皿を挽きました。まだ大きさもフォルムも揃っていませんが、ロクロの感覚が戻ってきたら、同じ大きさのリム皿を挽くことを意識していきます。

お皿はスペースを取るので、保管するのが大変です。計画的に作らないと他の生徒さんにも迷惑がかかります。

調子が上がってきたところで、教室でいつも使っている「信楽並土」でリム皿とマグを作っておきました。カップ&ソーサーとしても使えるし、お皿単体でも使えるようなものを考えています。ソーサーとして使うには、できるだけフラットなリム皿がいいでしょう。

2日間で作ったものは全部でこれだけですが、保管するための発泡スチロールは8箱ほどになりました。来週は先生に見本を作ってもらって、リム皿の挽き方を研究したいと思います。これから3ヶ月間は毎週陶芸三昧になると思いますが、どこまで上達するか自分への挑戦になります。

久々に師匠対決もやってみようかな。笑

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