自分が良いと思える新しいモノ

まだ気温が低い日も多く、雪がちらつくこともありますが、一面銀世界だった美しい北海道にも春がやってきました。春が待ち遠しい人は多いと思いますが、私はモリモリ降って、キーンと冷えた真冬が好きなので、雪が腐っていくこの時期が一番苦手ですね。天気がいい日は、ザラメをまったり滑ることもできますが、雨が降ることも多いので、粘土に向かう時間が多くなりました。遅ればせながら、やっと陶芸スイッチが入ったみたいです。(^^;

掻き落としの新作は大失敗

昨年から試作をしていた掻き落としの新作が焼けました。一眼レフで撮ってるので、写真ではいい感じに見えるかもしれません。一つ一つ違うデザインで、何時間も掛けて掻き落としました。自分の中でもすごーくがんばったんですが、残念なことにほとんどが失敗でした。

ちょうど10個ありますが、8個ぐらいはボツだと思います。ひょっとすると全部かも。(^^;

どこが失敗かというと、本焼きで化粧土が剥離してしまいました。化粧土トラブルとしてはよくあることだと思いますが、昨年末の窯出しでも同じようになり、ほとんどボツになりました。

化粧土が濃くかかった部分の剥離が目立つので、化粧土の濃度に問題があるのかもしれません。

こちらは取っ手の他、口の部分の化粧土も剥離していました。口の部分の化粧土はスポンジで拭き取っているにもかかわらず、更に剥離していて、完全にアウトです。

色の濃い釉薬を使うとせっかくの掻き落としが消えてしまうので「透明釉」を掛けています。これは剥離もなく、ギリギリOKかなという感じ。

釉薬の濃度も調整してみましたが、かなり薄くしたものは、焼き締めに近いマット調になりました。「ツヤあり」と「ツヤなし」は好みだと思いますが、私はこの「ツヤなし」の方が好きなので、自分の好きな雰囲気になるよう試行錯誤していますが、化粧土は本当に難しいです。化粧土の調合や濃度についても考えないといけないし、きちんとデータを取ってロジカルにやらないといけません。

10年以上やってて、まだこの段階か!って感じですけど。

暇なので(笑)、今回のマグが出来上がるまでの一連の流れを紹介します。

ロクロ挽き

ロクロ挽きは一番好きな工程です。最近は安定感のある末広がりが好きで、この形を安定して挽けるようになってからは、ずっとこればかりで、シャープな形のものが全然挽けなくなりました。(^^;

しばらく陶芸から離れていた時期なので、これだけ挽くのも2時間ぐらいはかかっていたと思います。今なら1日で100個は挽けると思うので、今度チャレンジしたいと思います。

Jpeg

削りと取っ手付け

発泡スチロールで1週間ほど寝かせて、削り作業をする前日に蓋を開けてもらって乾燥具合を調整してもらっています。乾燥のタイミングが削りやすさを大きく左右します。取っ手と本体の乾燥具合が違うので、さらに発泡スチロールで保管しておきます。

下半分の化粧掛け

さらに1週間後に白化粧土を施しましたが、この化粧土を掛けるタイミングが最も重要だと思いますが、その日のうちに削りが終わらないこともあり、翌週に持ち越しすることも多いです。本来ならば、高台を削った後、その日のうちに化粧掛けをする方がいいかもしれません。本体と化粧土の乾燥具合に差があると剥離しやすくなると思うし、化粧土の成分や濃度も関係あると思います。

一度で全体に化粧土を掛けるのはリスクが高く、化粧土の水分で底が抜けたり、崩壊することもあるので、マグの場合は下半分を先に掛けるようになりました。

内側と上半分の化粧掛け

下半分に掛けた化粧土が乾いてから内側と上半分に化粧土を掛けます。釉薬を掛けるときと同じやり方で、スキッと掛けるようにしています。写真でも分かりますが、化粧土が重なっている部分は色が濃くなっています。

掻き落とし

指の痕が付かない程度に乾いてから、先の細い剣先などで掻き落としていきます。この時、粘土は半乾きの状態ですが、その日のうちに作業できなかったものは、持ち帰って自宅で作業しました。家に持ち帰るとなかなかヤル気が起きないので、何週間も放置してしまいました。カラッカラに乾燥してから掻き落としたものもありますが、どちらも結果に違いはなかったように思います。マグのように唇を直接付ける器の場合、口の部分の剥離は特に気になるので、スポンジで全部拭き取っておきました。

施釉

冬期間は他の生徒さんの作品も溜まっていないので、焼成サイクルはかなり長くなり、2~3ヶ月に一度という感じです。素焼きが終わったマグに釉薬を掛けます。掻き落とした柄が現れるように、透明釉や透明に近い釉薬を掛けるのが一般的だと思います。濃度を変えて試してみました。

窯出し

本焼きまで3ヶ月以上かかっていますが、焼き上がりました。今回は残念な結果になりましたが、色々な課題が見えてきたので、前向きに修正していきたいと思っています。

毎年、新作のマグを買いに来てくれる人もいるので、私自身が好きだと思えるもので、新しい雰囲気のものを作りたいと思います。

5月27日(日)は「サッポロモノヴィレッジ」、6月23日・24日(土・日)は「あかびらツクリテフェスタ」に出展します。がんばろーっと。間に合わないかもだけど。(^^;

初めての掻き落とし

ちなみに2010年に掻き落としマグはこちらです。↓↓↓

掻き落とし後、素焼きをして、下絵の具で適当に色を付けてから本焼きしたと思います。イベントに持っていったら、すごく気に入ってくれた人がいて、すぐに里親さんが見つかりました。雑で超適当、しかも斜め。(^^;

深いことは何も考えず、とにかく陶芸が楽しかった頃でした。こうやって、始めた頃と現在を比べて見ると面白いかもしれません。

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