食卓デビューの日

去年の6月のこと。

工事業者の方から、現場で大量に出た粘土があり、これは何とかならないものかと、相談のメールが届きました。

採取した粘土を使った経験もない私に問い合わせが来たのかが謎ではありますが、これも陶芸の神から与えられた試練と思い、研究を兼ねて取り組んでみることにしました。

その粘土は十分な粘りがあり、普段使っている粘土とさほど変わらないような気がしたので、そのまま焼いてみることにしましたが、初回の焼成は大失敗で、見た目は「かりんとう」、持ってみると「軽石」のようになりました。粘土が焼成温度に耐えられなかったんですね。

その後、プロのアドバイスを参考にして、土の有機分を抜くために、数か月野ざらしにしておきました。粘土をフルイにかけ、細かくしたものに他の粘土を混ぜて・・・通常の過程に進むまでにとても時間がかかりました。

焼成のタイミングも悪く、しばらく待ってやっと窯入れとなったので、完成までに9ヶ月かかりました。

焼き上がった器たちは、この試練を与えてくれた工事業者の方へ送ったんですが、その後、実際に食卓にデビューした写真を送ってくれたんです。

手前のお茶碗、湯呑み、花型の中鉢が採取した粘土で作った器です。手間も時間もかかりましたが、とても喜んでもらえたし、実際に使ってもらえて、私もとても感動しました。

採取した粘土で作った器

私のところに送られてきた粘土はこんな状態(↓)でしたが、何とかなるもんですね。

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野ざらしにした後の、粘土の処理の仕方があまりよくなかったらしく、焼き上がった器にはピンホールが目立っていました。この粘土はまだ少し残っているので、水簸(すいひ)処理をして、また試してみようと思います。

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