世界にひとつだけの器たち

私が陶芸をするためにメインで通っている「新十津川町文化伝習館」は、陶芸の他に織物や染物の講座もやっているし、キャンプ場を併設しているので、これからの時期は色々な人が出入りするようになります。

窯出しが済んだ作品は、教室の入口に並べてあり、誰でも見れるようになっています。持ち帰るときは、計量してもらい、精算を済ませなければなりません。あったりまえですが、失敗したものや残念な色になっていても精算しないといけません。

水曜日あたりに窯出ししたと思うので、ここに飾ってあったのは、3~4日だったと思いますが、私の器を欲しいと言ってくれる人が何人かいたようでした。これまで何度も窯出しをしていますが、こんなにリアクションがあったことはなかったと思います。ここでは使わない粘土を使っているものもあるし、ひとつひとつ化粧土でデザインを変えていたので、珍しかったのかもしれません。偶然その場にいた他の曜日に通っている人からは「どうしてこんな色が出るの?」と質問されましたが、私も最初の頃は全く同じでしたね。粘土も釉薬も色んな種類があるし、何種類かを重ね掛けしたり、濃淡を付ければ、その組み合わせは無限に広がります。

イメージ通りのもの、ガッカリしたもの、予想よりも良かったものなどありました。マグやスープカップに関しては、行き先が決まっているものではなかったので、気に入ってくれる人にその場で販売しました。いつも思いますが、私があまり気に入らなかったものでも、気に入ってくれる人がいるんですよね。そんな人に使ってもらえるのが、器にとっても最善だと思います。

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すでに手元に残っていないものもありますが、写真だけは全部撮ってあるので、粘土や釉薬の組み合わせを記録しておきます。

まずは、大きめのマグから。粘土は「信楽赤土」を使っていますが、飲み物の色が見える方が好きなので、白化粧土で装飾をしているものが多くなっています。化粧土が剥離するのが心配だったので、口の部分は釉薬のみです。

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反対側はこんな感じです。三角の内側には、桃化粧土を塗っていますが、白化粧土との違いはあまりないようです。

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途中経過の写真を撮っていても、きちんと記録を残していないとすぐに忘れてしまいます。仕上がりの色を見ると、桃色ではなくて黄色の化粧土を使ったかもしれません。こちらは、上のマグとセットで里親が見つかりました。

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上半分に「ワラ灰マット」を掛けてから、全体に「透明」を潜らせたと思います。

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過去の写真を振り返ることがありましたが、よくあの出来栄えで、ここまで続けられたなと感心することがありました。それぐらい私の作品(と呼べるものではなかった)は、ひどかったんです。でも、作るのが楽しくて楽しくて仕方なかったですね。

色々な粘土や釉薬を試し、教室をハシゴし、師匠を変え、窯を変えてきました。山に登るようになってからは、粘土に触れる時間はめっきり減ってきましたが、こうして10年続けていれば、それなりのものが作れるようになるんだなぁ~と思いました。色々やっているように見られますが、スイッチが入っている事柄に対して、すごく集中しているのだと思います。

形が良くても、色がダメというのは結構あります。ネットで粘土や釉薬の組み合わせを調べても、思い通りにならないことが多いです。きちんとデータを取り、経験値を積み重ねていくしかないんだと思います。私は何をするにもとても飲み込みが悪いタイプですが、奥が深いものほど長く続けられると思います。

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形は好きなんだけどね。ベースが濃い赤粘土なので、その上に桃色の化粧土を使っても保護色にしかならないということがわかりました。縄文式かな。

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ツルツルした素地が好きな人の方が多いような気がしますが、私は断然マット派です。どこの教室でも「白マット」は用意してくれていますが、ここの釉薬はあまりマット感が出てこないんです。濃度の違いなのか、温度なのか、釉薬のメーカーの違いなのかもしれません。

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やっと末広がりの形が安定して挽けるようになってきました。

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こちらも上のとほぼ同じですが、白化粧土を刷毛で塗った後で、格子状に掻き落とし、適当に色化粧土を塗っています。白マットを掛けると、白が強く出てくるので、色化粧土を使っている部分はうっすらと出ているだけです。

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掻き落とす理由のひとつに軽量化ということがあります。300cc以上入るような大きめのマグは、やはり全体的に重くなります。胴から下の比重を軽くすれば、同じ重さでも持ち上げたときに軽く感じるんですけど、なかなかその形も挽けないでいます。

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こちらは色も形も評判がよかったんですが、釉切れしてしまって、処分品になりました。とても気に入ってくれた人がいたので、そのまま寄贈しました。ポンスでキレイな丸を付けて、その中に色化粧土を塗っていますが、釉薬でほとんど見えなくなっています。

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ポンスを使って、凹みをつけた部分の釉切れが目立っていたので、カンナや剣先で掻き落としていった方がいいのかもしれません。

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次はカップ&ソーサーです。こちらの粘土は「半磁器土」を使っています。「透明」を掛けても仕上がりは真っ白になりますが、流れやすい「ワラ灰マット」を使ってみました。

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点々の部分は、黒化粧土をドット状に書いていますが、やはり流れていますね。発色は黒ではなくネイビーに近いです。桃化粧土はとても淡い色になりました。

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こちらは「透明」を全体に掛けています。黒化粧土の点々がクッキリと出ています。黄化粧土の発色がイマイチでした。濃度の問題なのかもしれません。

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半磁器土を使ったカップは取っ手を付けるのにとても苦労しました。

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他の色化粧土と違い、空化粧土は不思議でした。「白マット」を掛けてもかなりキレイな空色に発色しています。

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掻き落とした模様は三角です。

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こちらは「透明」を掛けたものです。化粧土の発色はとてもいいですね。個人的には「呉須」の方が好きですが、キレイな空色になります。

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写真では分かり難いですが、ソーサーにヒビが入ってしまいました。

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何度も失敗して、結局、取っ手を付けなかったものが4点ありました。こちらは、黄色と空色の化粧土を使いました。気に入ってくれた人がいたので、すでに販売済です。

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掻き落とし具合が自由な感じです。せっかくの手作りなので、それでいいんだと思うようになりました。窪みがあるので、持ちやすくなっています。

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上と同じ組み合わせですが「ワラ灰マット」を掛けると、化粧土の色がほとんど消えてしまいました。

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これも取っ手はありません。

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化粧土を掛けて掻き落としている時には、このデザインがとても気に入っていましたが、こちらも取っ手がうまく付かなかったです。とても可愛らしい感じの色になりました。

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気に入ってくれる人いるかな~?

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桃化粧土の発色もなかなかキレイでした。こちらも取っ手が付かなかったので、苦戦した痕跡が残っていました。

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乾燥が進みすぎた半磁器土は本当にやっかいでした。

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次は、スープカップです。大きさを正確に計って挽いているわけではないのですが、取っ手の位置を上の方にしているので、それなりに重ねられます。スープでもサラダでもドレッシングでもヨーグルトでも何でも使えるように少し大きめです。レンジでチンしても取っ手までは熱が伝わらないので、案外使い勝手はいいと思います。

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粘土は教室でみんなが使っている「信楽並土」です。萩土を混ぜて再生することもあるので、同じ釉薬を使っても、仕上がりの色味はその時によって少し違うかもしれません。「イチゴみたいで可愛い」と気に入ってくれた人がいたので、そのまま販売しました。

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こちらも「透明」かな。空化粧土がキレイに出ているし、粘土の色も出ています。

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こちらは黄化粧土と「透明」の組み合わせです。黄色の発色が良かったです。

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空化粧土を先の細い刷毛で適当に描いて、ポンスで丸く印を付けたものに色化粧土で丸の中を塗っています。白マットを掛けても、空化粧土の発色はいいですね。

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こちらは色化粧土3色を使って「白マット」を掛けています。

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三角の下地に黄化粧土を使っていますが「ワラ灰マット」で完全に消えたようです。

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こちらも「ワラ灰マット」の色が強くて、色化粧土はうっすらと残っているだけです。

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半年前に素焼きが終わっていたお茶碗も焼けました。右側のが底にうっすらとヒビが入っていたので、廃棄しようと思ったら、全部欲しいと言ってくれる人がいたので、2つは販売し、1つはプレゼントしました。以前は丸いフォルムのお茶碗が好きでしたが、今は真ん中のがいいかな~と思うようになりました。高台の好みも変わってきました。

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風鈴も焼き上がりましたが、まだ組み立てが終わっていないので、後日アップします。

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