過去最大数の失敗作

昨年末の話になりますが、過去最大数の失敗作を生み出しました。10年以上やってますが、ここまでひどいのは初めてです。40点ほど窯出ししましたが、そのうち30点ぐらいはボツになり、そのまま処分してもらいました。

失敗作の検証

本焼きの温度は、そこそこで多少の差があると思いますが、一般的には1,200℃~1,250℃ぐらいでしょうか。私が通っている教室では、1,225℃で本焼きをしています。窯の温度が十分に下がってから窯出しをするので、スイッチを入れてから、焼き上がりまでは3日ほどかかります。扉を開ける現場にいることは滅多になくて、窯出し終わったものがテーブルに並べられていることがほとんどです。

陶芸教室によって料金システムは違いますが、こちらの場合は焼き上がった作品の重さを計ってもらい、支払いをします。当然のことですが、うまく焼けても、失敗でも、自分が作ったものは全て支払いをしなければなりません。失敗作が大量に出てきた時には、それはもうガッカリします。不燃ゴミを作り出して、それにお金を払うなんて、環境にも財布にも優しくないです。

ダメなものは処分してもらったので、既に現物は手元にありませんが、なぜこんなにも失敗してしまったのか考えてみたいと思います。

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その1.重ね掛けの失敗

流れやすい釉薬を使ったときによくある失敗例です。下の写真のお茶碗は「海鼠」を全体に潜らせてから、「白萩」を重ね掛けしたものです。施釉の時に高台に付いた釉薬は拭きとっていますが、それでも棚板まで釉薬が流れてしまうことがあります。

棚板は安いものではありません。大きさによって違いますが、1枚5,000円ぐらいはすると思います。棚板から外れなくなった場合は弁償を求められることもあります。

多少の流れであれば、グラインダーで削れば何とかなったりしますが、こんなに流れてしまってはどうしようもありません。釉薬の濃さに大きく関係しますが、重ね掛けした場合は、高台から1cmぐらいの高さまで撥水剤を塗った方が安全かもしれません。

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その2.ピンホールやブクの失敗

ピンホールは小さい穴のことですが、下の写真のマグにはプツプツと小さい穴が沢山見えます。ひどい場合はピンホールが突起状になっていて、怪我をすることもあります。

他の方の作品でも目立つようになってきたので、ひょっとすると粘土を再生するときに使う石膏板に問題があるのでは?という人もいました。

調べてみたところ、石膏の劣化してもろくなった部分が粘土に付着し、焼成中に分解して亜硫酸ガスとなって釉面から抜けた跡がピンホールとして残ることがあるようです。石膏は粘土の水分を吸収するので、粘土の再生の過程でよく使っているので、全ての粘土に共通しているのも頷けます。

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下の写真を見るとよく分かりますが、ひどいことになってます。粘土は教室で使っている「信楽並土」に自分で仕入れた「チタンマット」を掛けたものです。

白っぽく焼き上がると思っていたのに、こんな状態では完全にアウトです。こんなんじゃ、気持ち悪くて使えないです。

素焼きが終わった作品は、濡らした布巾を固く絞って、作品全体をサッと拭いてから、釉薬を掛けた方がいいという話もありました。

これには思い当たる節があり、ピンホールが出た大量のマグは素焼きが終わってから、半年以上放置していたものなので、埃が被っていた可能性があります。

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お皿も同じような感じでした。問題なさそうなものもありましたが、全て処分してもらいました。今回処分した器たちは、他の講座に来ている方がいくつか持って帰ったようなので、使い手が見つかってよかったです。

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この釉薬は、2014年11月に行った個展のために仕入れたもので、これまでに何度か使っています。下の写真は2016年の年末に窯出ししたものです。赤粘土とチタンマットの組み合わせですが、ひどいブクができています。

粘土に空気が入っていたのかもしれないので、菊練りの段階からまずかったのかもしれません。

こちらは大きく膨れ上がっていました。

内側にも大きなブクがあります。ロクロ挽きに問題があったのかな・・・と思うところもあります。

下の写真は、うまく焼き上がった時のものです。同じ粘土と釉薬を組み合わせたのにずいぶん結果が違うのが分かります。最初の頃は問題なかったのに、最近はまともなものが焼き上がっていなくて、釉薬そのものの濃度に問題があるのか、管理方法が悪いのか、粘土や窯との相性なのか、原因が分かりません。

その3.化粧土の剥がれ

以前も書いたことがありましたが、化粧土を使った時の失敗で多いのが、化粧土の剥がれだと思います。原因は、化粧土そのものの種類、化粧土の濃度、本体の乾燥具合、化粧土を掛けるタイミング、釉薬との相性などあると思います。

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下の写真は透明釉を掛けたものですが、口の部分が完全に剥離していますが、他にも同じようなものがありましたが、化粧土の濃度が濃かったのだと思います。

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2倍程度に希釈した透明釉を掛けたものも同じでした。口は化粧土を拭き取っているので問題なかったのですが、取っ手の部分が剥離しています。マットな雰囲気と優しい色合いがとても気に入ったので、この雰囲気でクオリティを上げようと試行錯誤しています。

先週、薬掛けを終わらせた器たちが、まもなく窯出しになります。「あかびらツクリテフェスタ」で、目立つ場所に飾るか、アウトレット品になるか・・・結果はもうすぐです。

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